
不動産売却を考え始めると、SUUMOやHOME’Sで物件をたくさん掲載している会社が目に入ります。
「掲載数が多い=売却力が高い」と感じるのは自然なことかと思います。
ただし、その判断には少し注意が必要です。
私はかつて不動産ポータルサイト運営会社の中の人として10年間、関東の不動産会社1,000社以上の商談を行っていました。
その経験から、広告掲載量と売却力の「本当の関係」をお伝えします。
広告掲載量が多い会社は「仲介件数」も多い傾向がある
広告掲載量が多い不動産会社は、従業員も多く抱えているケースがほとんどです。
そのため会社全体の仲介件数は、掲載量が少ない会社より多い傾向があります。
この点だけを見れば「売却力が高い」と言えなくもありません。
ただし問題は、「会社全体の件数」と「あなたを担当する営業マンの件数」は別の話だということです。
担当者によって月間の成約件数には大きな差があります。広告掲載量が多い大手に依頼しても、売却力のない担当者に当たってしまうと、大切な物件がいつまで経っても売れない可能性が出てきます。会社の規模と担当者の実力は別物として考える必要があります。
広告掲載量が多い本当の理由
不動産会社がポータルサイトに多くの物件を掲載するのは、売却力のアピールだけが目的ではありません。
むしろ大きな目的の一つは「認知度の向上」です。
あるエリアで物件を検索したときに、同じ会社の物件が何件も出てくると「この会社はこの地域に強いんだな」という印象を持ちやすくなります。
コーラのテレビCMのようなものだと感じていました。繰り返し目に入ることで「この会社で買えばなんとなく安心だ」「このブランドは信頼できる」という感覚を積み上げていく。ポータルサイトへの大量掲載は、売却力の証明というより、ブランド認知を広げるための広告戦略に近い側面があります。
広告掲載量より「掲載の質」を見るべき理由
広告の量よりも、掲載されている物件の「質」のほうが売主にとって重要な判断材料になります。
確認してほしいのは以下の点です。
- 物件写真はきちんと撮影・掲載されているか
- 物件へのコメントや説明文が丁寧に書かれているか
- 間取り図や周辺情報など基本情報が揃っているか
当たり前のことを当たり前にやっているかどうかが、その会社が売主に親切に対応してくれるかの判断材料になります。写真が暗い・コメントが空欄・情報が最低限しか入っていない掲載をしている会社は、売却依頼をした後も同じ姿勢で対応してくる可能性があります。
広告掲載のコストを知っておくべき理由
ポータルサイトへの広告掲載には費用がかかります。
目安として、1ポータルサイト・1物件あたり月額3,000円〜10,000円程度の掲載料が発生します。
この費用感を知っておくことで、依頼した不動産会社が自分の物件にきちんと予算をかけてくれているかどうかの判断材料になります。
複数のポータルサイトに掲載してもらえているか、掲載が継続されているかを定期的に確認することをおすすめします。
広告掲載量が少なくても地域に強い会社を見分ける方法
広告掲載量が少ない会社でも、地域での仲介力が高いケースがあります。
一つの判断材料になるのが「不動産免許番号」です。
※免許番号の()内の数字は更新回数を示しており、数字が大きいほど長く営業を続けている会社であることを意味します。
免許番号の更新回数が多い会社は、それだけ長く地域に根差して営業をしてきた実績があります。知識や経験が豊富な傾向があり、広告掲載量が少なくても地元での信頼関係や売却ノウハウが蓄積されているケースがあります。会社のホームページや物件掲載ページで確認できます。
最終的には複数社と話して「相性」で判断する
不動産売却は最終的に人間関係が重要になります。
広告掲載の質や免許番号での絞り込みは判断材料の一つですが、実際に複数の会社と話して比較することが最も確実な方法です。
複数社に査定を依頼する際、「現在どこの不動産会社がより良いかわからないので、複数社を検討しています」と最初に伝えることをおすすめします。この一言で、しつこい営業をかけてくる会社とそうでない会社の違いが見えやすくなります。各社の対応の丁寧さを比べることが、相性の良い担当者を見つける近道になるかと思います。
複数社への査定依頼には一括査定サービスの活用が効率的です。
まとめ
ポータルサイトの広告掲載量は会社の認知度や規模を反映しますが、あなたを担当する営業マンの売却力とは別の話です。
掲載の質・免許番号・実際の対応の丁寧さを複数社で見比べることが、信頼できる担当者を見つけるための現実的な方法ではないかと思います。

