
「他社より300万円も高い査定額が出た!」
その高い査定額が「現実の不動産売却価格」になるとは限りません。

私はかつて不動産ポータルサイト運営会社で10年間、営業として関東の不動産会社1000社以上の商談を行いました。
その現場で何度も見聞きしてきたのが、「高値つり上げ」と呼ばれる業界の悪しき慣行です。
この記事では、その仕組みを不動産業界の裏側から解説し、あなたが騙されないための具体的な見分け方をお伝えします。
そもそも「高値つり上げ」とは何か
高値つり上げとは、媒介契約(売却依頼)を獲得するために、実際の相場より大幅に高い査定額を提示するセールス手法のことです。
不動産会社の営業担当者にとって、「売主から売却依頼を受ける=媒介契約を締結する」ことが最初のハードルです。査定額が高ければ「この会社に頼めば高く売れそう」と思ってもらいやすく、契約を取りやすい——そういう動機から生まれます。
不動産ポータルサイトの営業時代に不動産会社が「(大手企業が)他社より高く価格を提示して契約を取っている」とある地域では噂になっていました。
それだけならまだしも、その状態で売れない状態が続くと市場との「価格調整」と称して値下げを打診してくる。
これが典型的な一部不動産会社の営業手法になります。
高値つり上げが疑われる3つのサイン

①他社の査定額と数百万円以上の開きがある
複数社に査定を依頼したとき、1社だけ高い査定金額を出してきた場合は注意が必要です。同じ物件を見ているのに数百万円以上の差が出た場合は、必ずその不動産価格の根拠を確認しましょう。
②根拠となる成約事例を出せない
査定を受けた際に「近隣の成約事例」を聞いてみてください。
プロであれば近隣でどのような物件がいくらで売却されたか、またはポータルサイトでの販売物件の情報をもとにあなたの売却したい物件のおおよその不動産価格の説明ができるかと思います。
これができない会社はエリアの実情を把握していない可能性が高く、額も机上の空論になりがちです。
③媒介契約を急かしてくる
「今すぐ専任媒介を結びましょう」と急かしてくる担当者には注意が必要です。
焦らせることで、比較検討を妨げようとしている可能性があります。信頼できる担当者は、売主が納得するまで時間をかけて説明します。
例えば「弊社であなたの売却したい物件の条件を希望している方がいます」や「早くしないとこのエリアの地価はどんどん下がっていきますよ」などさまざまなセールストークを使って媒介契約を結ぼうとしてきます。
そのような煽り文句が出た時には、気持ちを抑えて冷静に他の不動産会社の説明を聞いてから返答するようにしましょう。
どの高つり上げのサインでも必ず根拠を確認しましょう。
「なぜその不動産価格になるのか」「なぜ根拠となる成約事例が出せないのか」「なぜ媒介契約(専属専任及び専任)を急かしてくるのか」
不動産担当者による曖昧な説明の場合は危険信号です。
※一部物件の所在地によって成約事例がない場合や不動産価格が経験に基づく場合もあります。その際も他の不動産会社と整合性が取れているか必ずチェックしましょう。
査定書の「どこ」を見るべきか

口頭の説明だけでなく、査定書の内容も確認しましょう。信頼できる査定書には以下が含まれています。
「3か月以内に○○万円で必ず売れます」と根拠なく断言する会社は、それだけで疑ってよいでしょう。
不動産売却に絶対はありません。
高値つり上げに騙されないための会社の選び方

「査定額の高さ」で選ぶのはNG
「根拠の明確さ」で選ぶことを原則としましょう。
また3~5社に査定を依頼し、あまりにも高い査定の会社は冷静に根拠を確認してから判断しましょう。
「複数社に査定を依頼している売主はお断りしている」という地元の不動産会社も過去に聞いたことがあります。
従業員が少なく社長自身で営業している会社については売主の返答が遅くなることが懸念点のため、お断りしているようです。
その場合は諦めて他の不動産会社に査定を依頼しましょう。
まとめ
査定額の高い会社を選びたくなる気持ちはわかります。
ただし現実の売却価格にならないケースが不動産業界では珍しくありません。
最後に大切なのは「この担当者はあなたのことを真剣に考えているか」を見極めることです。
根拠のある説明ができる担当者と信頼関係を築くことが、最終的に高く・早く売ることへの近道になります。
